NEW! PMモータの磁気回路の種類について
Joeです。
鬱陶しい梅雨の季節がやってきましたね。
私事ですが、今年から畑を1畝借りて家庭菜園を始めました。昨年は雨が少なくて全国各地で節水要請や取水制限が実施されましたが、今年は平年並みか平年より多いと予想されていますので安心しています。ただ今年1月から5月にかけて毎月台風が発生するなど発生ペースが平年より早く、発生件数が多くなる予想となっていて、トウモロコシが倒れないか今から心配しています。


さて今回はIPMモータの磁気回路についてのお話しです。
先ずは分類から説明して次にIPMモータ(*IPMSM)の磁気回路について説明します。
*IPM:モータの構造を指す略称(Interior Permanent Magnet)
*IPMSM:モータの種類(同期モータ)まで含めた正式な略称(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)
ブラシレスモータの分類
ブラシレスモータは軸側を固定するのか回転するのかでインナーロータ形とアウターロータ形に分類されます。
(磁石は共にロータ側に配置されています)
又、インナーロータ形は磁石配置による分類でSPMSM(表面磁石埋込型)とIPMSM(埋込磁石型)とに分類されます。
インナーロータ形とアウターロータ形
・インナーロータ形 (Inner Rotor)
一般的に広く普及している構造で、固定子(ステータ)の内側に回転子(ロータ)が配置されています。
主な用途:工作機械、産業機器、電気自動車など。
・アウターロータ形 (Outer Rotor)
固定子(ステータ)を内側に配置し、その周囲を囲むように回転子(ロータ)が配置されている構造です。
主な用途:ドローン、ハードディスク、扇風機など。

インナーロータ形の磁石配置による分類
・SPMSM(表面磁石埋込型)
磁石をローターの表面に貼り付けたタイプ。応答性が良く、小型化に適しています。
主な用途:小型サーボモータ、ファン、ポンプ、小型産業機器など。
・IPMSM(埋込磁石型)
磁石をローター内部に埋め込んだタイプ。遠心力に強く、高速回転や高いトルクを発生させることができ、電気自動車などに使われます。
主な用途:電気自動車(EV)、工作機械、高性能サーボモータ、産業用高効率モータなど。


IPMモータの磁気回路(磁石の配置による種類)
インナーロータ形IPMSMの磁気回路は、磁石の配置によっていくつかの種類に分類されます。
磁石の配置は、トルク特性、効率、高速性能、製造性に大きく影響します。
・フラット形
磁石をロータ内部に平行に埋め込む構造で最も基本的なIPMSM構造。
構造が比較的シンプルで製造しやすいのが特徴で産業用モータに広く採用。
・V字形
磁石をV字状に配置する構造で最も普及しているIPMSMの一つ。
リラクタンストルクを大きく得られるため、電気自動車で最も一般的。
・スポーク形
磁石を半径方向に配置する構造。
磁束集中による高トルクが必要な用途に適する。
・多層埋込形
磁石を2層または3層に配置する構造。
高速回転域まで高効率を維持したい用途で採用。


※ 画像は磁石配置のイメージです。(実際とは異なります)
比較表
| 磁気回路 | リラクタンストルク | 高速性能 | 構造 | 主な用途 |
| フラット形 | ○ | ○ | シンプル | サーボ、産業機械 |
| V字形 | ◎ | ◎ | やや複雑 | EV・HEV |
| スポーク形 | ◎◎ | ○ | 複雑 | 高トルク用途 |
| 多層埋込形 | ◎ | ◎◎ | 非常に複雑 | EV、高速機 |
IPMモータの磁気回路(極数とスロット数)
IPMSM磁気回路の、ロータの磁石の極数(P)とステータ巻線のスロット数(S)の組み合わせは、モータのトルク特性、振動・騒音(コギングトルク)、効率、そして製造の容易さに直結する非常に重要な要素です。
代表的な組み合わせの特徴を一覧表にまとめてみました。
| 極数(P) : スロット数(S) | 特徴 | 主なメリット | 主なデメリット |
| 4P : 6S | 基本構成 | 構造がシンプル、巻線が容易 | 高速域で振動が出やすい |
| 8P : 12S | 最も標準的 | トルク密度・効率のバランスが良い、振動騒音を低減しやすい | 突出した欠点はない |
| 10P : 12S | 分数スロット | 磁力増、高巻線係数・高トルク | 配置のズレによる振動・騒音の対策が必要 |
| 多極 : 多スロット | 高性能・静粛型 | トルク脈動が小さい(低騒音) | 鉄損増大・インバータ負荷大 |

以上、IPMSMの磁気回路(磁石配置と極数スロット数の種類)についてご説明しました。
現在弊社メインのIPMモータ(IPM-112シリーズ)は8極12スロットで、ステータはインダクションモータのコアと共通の分布巻きを採用しています。
分布巻きはコイルエンドが大きくなる欠点がありますが、振動騒音の低減がしやすいメリットがあります。モータ巻線については以前のブログモータの巻線方法と工程についてをご参照下さい。
今後弊社では、更に小型・高効率なIPMモータを安定供給できるよう、巻線方法も含めた磁気回路の見直しによる新規コア設計に取り組み、並行して部材調達や設備など生産効率の改善を進めて行く予定です。
それについてはまたの機会に紹介させていただきます。
弊社はこれからもお客様に必要とされる企業を目指し取り組んでまいります。
モータに関するご要望があれば是非ご相談ください。
まだまだ鬱陶しい梅雨は続きますが、皆様体調を崩さないように気をつけてお過ごしください。

