株式会社 明和製作所

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NEW! カーボンブラシ交換時のポイント

2026.10.13

こんにちはnakaです。ようやく秋らしく・・・でもない気温で、25℃以上の夏日がまだまだ続出しています。それでも幾分は涼しくなったので、休日も色々とやる気が起きてきます。最近は半世紀前のDEN〇Nのレコードプレイヤの修理をしています。ターンテーブルのブレーキが働かなくなっていたのを1年くらい放置していました(ブレーキ効かなくても聞けるので・・・)が、ようやく重い腰上げて修理に取り掛かったが運の尽きとなりました。原因はブレーキ時にインダクションモータにDC電圧をかけるトランジスタだったのですが、いくつかある基板を見ると、どれもトランジスタの足にウィスカと呼ばれる黒い棘が発生しています(古い電子部品あるある)。50年経てば当然電解コンデンサ等も・・・諦めて全数交換に。ICなんて原始的な物しか付いていない時代ですので、サーボ回路の殆どを大量のトランジスタで構成してあります。昔の規格のメタルキャンタイプという金属ケースタイプもあり、今では入手困難のオンパレードです。代替の選定含めて結局深い沼へと浸かって行きます・・・古いオーディオアンプとかよりマシと思うことにします。

さて今回はブラシ交換について書いてみたいと思います。“整流子モータ”、“DCマグネットモータ”などのいわゆるブラシモータは宿命的にブラシが摩耗しますので、使用しているといずれはブラシ交換が必要になります。その際のポイントをまとめてみましたので興味のある方は参考にされて下さい。
なおブラシ周りの構造については“電気モータの整流子とブラシの関係”の記事で紹介していますので参考にして下さい。

 

①ブラシの交換目安

摩耗限界線が入っているブラシは分かりやすく、そのラインが限界です。
一方で線がないブラシですが、これはブラシの種類により限界量は様々であり、一概に何mmと言うのは難しいのですが、一つの目安としてはブラシの断面の短辺程の長さになっている場合は交換をお勧めします。

左:摩耗限界線あり    右:摩耗限界線なし

②指定品の使用

ブラシは必ず指定品を使用して下さい。サイズが同じで取付けが可能であっても、材質やバネの圧力が異なると異常な火花や発熱、摩耗が発生します。さらにモータ特性の異常等を引き起こす場合があります。(弊社お客様の機器メーカー様にも必ず弊社供給の専用ブラシをエンドユーザー様に提供していただくようにお願いしています)

 

③ 2本同時交換

運転状態により、2本のブラシ摩耗量に差が出る場合があります。この場合でも必ず2本とも同時交換を推奨します。2本のバランスが崩れることと、古いブラシが原因で新しいブラシの寿命が短くなる可能性があります。

 

④ ブラシキャップの変形確認

ブラシを押さえているブラシキャップに変形がある場合は交換します。
※変形がある場合はブラシの温度が上がっている可能性があります。

 

⑤ ブラシホルダ内部の確認

ブラシが入っていたブラシホルダの内部に汚れや変形、腐食痕がないかを確認します。汚れの場合は清掃し、変形や腐食がある場合はブラシホルダの交換が必要です。

⑥ 整流子の状態確認

整流子のブラシ摺動面の荒れと摩耗状態を確認します。表面が荒れている場合は、そのまま使用すると新しいブラシの摩耗を早めるため、ロータの交換か整流子の研磨を実施します。

     荒れた整流子

⑦ 内部の清掃

モータ内部のブラシ摩耗粉は可能な限りエアブロー等で取り除きます。
ブラシ摩耗粉が多く残っていると、交換ブラシの寿命が短くなる場合があります。

⑧ ブラシの挿入抵抗の確認

新しいブラシがブラシホルダに抵抗なく挿入出来るか確認します。もし抵抗がある場合はブラシホルダに異常がある可能性があるため交換か修理を検討して下さい。

 

⑨ 慣らし運転と運転状態の確認

慣らし運転を実施し、異常な音や発熱、振動がないか確認します。
(慣らし運転の時間については、モータにより異なります)

 

⑩ 整流火花の確認

運転中にブラシと整流子の摺動部が観察できる場合は、慣らし終了後に無負荷で運転してみてブラシと整流子の間の整流火花を確認します。
整流火花についてはこちらの記事の”4.整流火花”を参照ください。

 

⑪ 旧ブラシの確認

取り外したブラシを観察して下さい、摺動面が酷く荒れている場合は整流状態が悪い可能性が高いです。また、ピグテールの色が白っぽくなっているものやバネが変形している物は高温になっている可能性が高いです。モータの点検や使用方法の見直しも検討して下さい。

 

    摺動面の荒れ
  白化したピグテール
    変形したバネ

⑫ ブラシキャップの締付確認

ブラシをブラシキャップで押さえているタイプの場合はブラシキャップを確実に締め付けて下さい。ブラシキャップが緩むとブラシの金具とブラシホルダの金具の接触が悪くなり、電流の経路や流れが不安定になり異常な発熱や摩耗に繋がる場合があります。

 

以上がブラシ交換時のポイントになりますが、もし寿命を超えてブラシを使用してしまったらどうなるのでしょうか?その場合以下の様な状態が発生することがあります。

 

寿命を超えたブラシを使い続けるとどうなる?

①整流子との接触が悪化する

寿命を超えたブラシを使用した場合、バネが許容以上に伸びてしまいますので、バネがブラシを押しきれなくなり整流子と接触しなくなります。単純に止まってしまうだけならまだ良いのですが、その前段階で接触したりしなかったりというギリギリの状態が発生します。整流子は細かく見ると完全な円形ではありません。製作時の誤差や摩耗過程で歪な円形となっています。バネがしっかりとブラシを押してくれていれば若干の誤差はバネが押し付ける力で吸収され問題にならないのですが、バネが押す力が不足すると凸の部分は接触しますが凹んでいる部分はブラシが接触しなくなってしまいます。この接触する、しないが高速で繰り返されることで整流火花が一気に悪化してしまいます。また、接触しない所ではモータのトルクは発生しないため、性能も低下してしまいます。この状態で使用し続けると整流火花やその熱等によってモータ内部の部品がダメージを受けてしまい、最悪の場合焼損に至ることもあります。仮に焼損せず新しいブラシに交換しても、正常に運転できなかったり、寿命が大幅に低下してしまう場合があります。

 

②ピグテールと整流子の接触

ブラシの中にはピグテールが埋め込まれていますが、寿命を超えたブラシを使い続けると、このピグテールが露出してきて整流子に接触してしまいます。銅同士が擦れてしまうため整流子のピグテールに接触した一部だけが極端に摩耗し、尚且つ通常のカーボンブラシの部分はピグテールに邪魔されて接触が悪くなってしまい、整流火花を悪化させて整流子表面が荒れてしまいます。上記と同じく、焼損、正常に運転出来ない、寿命低下等が発生するリスクがあります。

 

  ピグテールが露出したブラシ
  ピグテールが接触した整流子

この様に寿命を超えたブラシを使い続けることは、整流子等の他の部品の寿命を縮めたり故障を招くリスクが高いため、避けて下さい。

 

整流火花の特殊な例について

整流火花は基本的に少ないほど良いとされますので、大きな火花が出ている場合は異常がないか点検や修理が必要となります。ただし例外的に下記の様な過渡的な状況で大きい火花が出ても問題ない例があります。

 

①モータ起動時

モータの起動時、特にスイッチとモータがダイレクトに繋がれている様な場合は起動時に一瞬大きめの火花が出ますがこれは正常です。(コンマ何秒~1秒程度ぐらいです)モータが起動して一定回転で回りだすと火花は小さくなり落ち着いてきます。

 

② 電気ブレーキを使用しているモータ

整流子モータの界磁ブレーキ(電動丸ノコ等が代表的)やDCマグネットモータのショートブレーキ等は、かける瞬間に大きい火花が出ますが、これはメーカが意図した状態のため正常です。

その他、急激に負荷が変動した場合や、急激に逆転させた場合なども一瞬火花が大きくなることがありますが、それぞれのモータでメーカが想定している範囲の運転であれば問題はありません。

 

今回はブラシ交換時のポイントについて書きました。ブラシと整流子は正にブラシモータの要です。ブラシモータに関するトラブルの多くはこのブラシと整流子周辺に集中しています。日頃からブラシ周りの点検やメンテナンスを実施して頂くことで、トラブルをかなり減らすことが出来ます。弊社はブラシメーカや整流子メーカと協力して実績のある組合せをご提案できますので、もしご使用・ご採用のブラシモータでブラシ周りトラブルのサポートが受けられない場合は、弊社にご相談頂ければアドバイスや代替モータのご提案が出来るかも知れませんのでお問い合わせ下さい。

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