株式会社 明和製作所

BLOG技術者ブログ

ギヤードモータ・カスタム対応について

2024.04.12

Joeです。

今年は桜の開花が少し遅れましたが、入学式、入社式にはちょうど良いタイミングでした。

弊社でも花見を予定して花見弁当を準備していましたが、残念ながら雨で花見はできませんでした。

でも花見弁当は豪華で美味しくいただきました。

後日通常弁当での花見を希望者で行ったようです。facebookリンク

 

さて、今回はギヤードモータについてのお話しです。

広義には歯車減速機と組み合わせて回転数やトルクを最適化したモータは全てギヤードモータと言えますが、一般的に「ギヤードモータ」「ギアモータ」と言った場合には、FA搬送ライン用途に最適化された商品を指すことが多いです。

三菱電機等では減速機とインダクションモータを組み合わせて様々な出力に対応した商品ラインアップを標準品で用意し、注文から数日で出荷する体制を築いています。

三菱電機ギヤードモータ

ですので弊社が同じような製品を提供してもあまり意味がありません。

 

弊社ではユニバーサルモータ、ブラシ付DCモータ、ブラシレスモータと組み合わせた高負荷の駆動、DC電源対応などニッチな用途に標準品ではなくカスタム対応を行っています。

これまでも数回のブログやニュースリリースで弊社のギヤードモータについて触れてきました。

2022.8月IPMモータ・ギアモータ直近の開発動向

2023.6月IPM用遊星減速機と直交減速機が出来ました~!!

Preliminary Release

2023.10月モータと平行軸減速機の組み合わせ

 

今回は、基本に戻って(ご存じの方も多いかと思いますが)ギヤードモータの意味合いとメリット、減速機種類と用途例イメージをご説明した上で、弊社のIPMモータを例にとったモータと減速比の選定の一例をご紹介します。

 

【ギヤードモータ】

モータ単体では回転数が速すぎる、又はトルクが不足していて、このままではモータ効率の良いところ(定格)で使えない、というときに活躍するのが減速機です。

モータへ減速機を付ける場合はカップリングで連結させて使用するのが一般的ですが、カップリングで連結するのではなく、モータ軸へギヤを切削して減速機と一体化させたのがギヤードモータです。

 

【ギヤードモータのメリット】

一般的には、「減速機+カップリング+モータ」という構成となるため、スペース的な問題が生じますが、ギヤードモータを使用することで、その問題が解消されます。

【ギヤードモータの減速機】

減速機と言っても多種多様ですが、ギヤードモータの減速機は歯車式です。

(ベルト式、チェーン式はモータ外部での構成になります)

【平行軸減速機】

平歯車、はすば歯車で構成された減速機です。

入力軸と出力軸は平行ですが、同心ではありません。

1段あたりの伝達効率が98%程度と動力伝達効率に優れ、産業機械全般に広く使われています。

【遊星減速機】

太陽歯車、遊星歯車、内歯車で構成された減速機です。

入力軸と出力軸が同心なのが特徴で、全体的にコンパクトになります。

又、減速機の外寸を変えずに減速比を変えることが容易で、遊星歯車の数が多いため、負荷に対して強いという特徴もあります。

1段あたりの伝達効率は90%程度です。

【直交減速機】

傘歯車、ウォームギヤ等で入力軸と出力軸が90度なのが特徴です。

傘歯車の伝達効率は95%程度ですが、ウォームギヤは滑りで熱が発生しやすいため50%程度です。

【モータと減速比の選定】

弊社では整流子モータ(ユニバーサルモータ)、DCマグネットモータ、IPMモータを製造していますが、今回はIPMモータを例に要求仕様が以下の場合のモータと減速比の選定について説明します。

【要求仕様】

 必要回転数:500r/min

 必要トルク:8N・m

減速機種類:平行軸

 (減速機仕様は、製品の配置スペースにより、平行軸・直交軸・同軸(遊星)から選択します。)

【仕様検討】

1.IPM-73Lモータで検討

 まずは必要トルクを定格運転で満足させる減速比を算出します。

上記より減速比は定格トルク1.3 N・m×伝達効率0.98/必要トルク8 N・m=1/6.28となります。

その減速比で回転数を算出すると定格回転数3000r/min×1/6.28=478r/minとなり要求仕様の回転数に少し足りません。必要回転数500 r/minが必須の場合にはより大きなモータを選択するか、定格以上の回転をさせる必要があります。

定格以上の運転をさせる場合には、運転時間や冷却条件の確認が必要になります。

 

2.IPM-112Mモータで検討

 同じくまずは必要トルクを定格運転で満足させる減速比を算出します。

上記より減速比は定格トルク1.6 N・m×伝達効率0.98/必要トルク8 N・m=1/5.1となります。

その減速比で回転数を算出すると定格回転数3000r/min×1/5.1=588r/minとなり必要回転数を超えていますが、IPMモータはドライバにより回転数制御が可能で500r/minを超えていれば制御で500r/minとすれば仕様を満足しますので、定格内で余裕を持って要求仕様を満足できる事が分かります。

 

弊社のホームページやカタログでご紹介させていただいているのは、あくまでベースとなる一例の位置づけで標準品をそのまま使っていただく事はほぼありません。上記のようなモータ種類、減速機種類、減速比の選択の検討はもちろんの事、制御有無や電磁ブレーキ付などのオプションなどを含め、用途や要求仕様に応じて最適な提案をさせていただきます。

 

今後も皆様のお役に立てる会社でありたいと考えています。

それでは季節の変り目ですが、皆様体調にお気をつけてお過ごし下さい。

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