4月新年度になりましたね。明和製作所でも4名の新しい仲間が入社し、新入社員導入研修が終了したところです。今年度は工業高校新卒と大卒転職組との合同形式で研修をおこないました。総務・安全衛生・製造・生産管理・営業・情報セキュリティ・品質・環境・研究開発など全部門の座学が終わり、今後6か月は現場実習です。

さて明和製作所製造部・生産管理課ではこの度、福岡県の中小企業生産性向上支援スキームを活用し、現場作業改善と連携して進捗管理の精度向上を目的としたIT設備導入を行いましたのでご紹介したいと思います。

明和製作所では減速機等と組み合わせた様々なモータの小ロット受注生産を、主要な部材を内製することで可能にしています。多様な仕様のモータ巻線はもちろん、モータ軸や歯車の素材の特殊鋼の切断、旋盤加工、歯切り、プローチ、焼入れ、研磨まで一貫で行うほか、モータのケースとなるアルミ素材のダイカスト鋳造やマシニング加工も内製しています。

また自社モータ用だけでなく、社外大手メーカにも歯車やアルミダイカスト部品を供給しています。もちろんその他の電子部品や様々な小物部品は社外から調達しています。

納期を短縮し、生産性を向上させるためには、様々な部材内作や外部部品調達の同期を取る必要があります。最終組立工程では、当然これらの部品がすべて揃ってからでなければ組立作業が行えません。弊社では受注生産が中心のため、いわゆるJIT方式ではなく、10年以上前からTOC（制約理論）を活用した手法を導入して納期管理と生産リードタイム管理を行ってきています。

またそれ以前から販売管理機能も装備した統合型の生産管理システムを導入しており、受注から生産計画、資材発注・受入・在庫・工程進捗・出荷まで管理できるのですが、部品揃えや進捗管理に関しては今まで人に頼ったやり方で行ってきていました。

生産システムの機能を活用していなかった理由は、これまでは現場作業者の近くにはITシステムが無く、内製部品の完了報告が作業実績票（紙の帳票）の回収後にシステムに入力する方式を取っていたため、社外からの購入部品の入着は受入と同時に入力されていますが、逆に内製部品の完了がリアルタイムに反映されておらず、進捗確認には使えない状況でした。そのため進捗会議等での報告やヒアリングよって確認を取る状態が長年続いていたのです。「現地現物」でというと聞こえは良いのですが、確認や打ち合わせに時間が割かれており、更なる納期短縮のためには合理化の必要性を感じていました。

端末とスキャナを導入すれば問題解決につながることはわかっていましたが、費用対効果を考えると中々踏み切れない状況が続いていました。また明和製作所ではＴＯＣよる全体最適の納期リードタイム管理と並行して、工程ごとの生産性モニター管理を行っており、その目的のためには作業実績のリアルタイムでの入力は必ずしも必要ありませんでした。

しかし端末の価格も下がり、更に今回は幸運にも補助金も活用させていただき、まずは小規模（現場作業者数4人に1台）の台数の製造現場専用端末を工程を選んで導入設置しました。タブレットとバーコードリーダ14セット、無線LANアクセスポイントから工場棟のすべての場所でつながるセキュリティを強化したインフラを構築し、更に生産管理システムへの同時アクセス・ライセンス数を1.5倍に拡張しました。これで生産管理関係のスタッフだけでなく、現場作業者も随時端末を活用して、作業完了時にその場でリアルタイムに報告・参照できる環境が整いました。

実際にリアルタイム入力を活用した取組みは始まったばかりで、現在は生産管理システムの標準画面で入力していますが、今後は現場作業者の意見を反映しながら更に現場作業が効率的に行えるように現場管理用画面等を新設して更なる生産性向上を目指していきます。

まだまだ世間で言われるIoTスマート工場には程遠い状況ですが、今回の組立工程を中心とした進捗管理システム導入を契機に、今後は現場参照図面や作業指示書、品質管理などのデジタル化、業務合理化を自分たちのペースで全工場に進めて行く事を計画しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。 written by I.T.O.