株式会社 明和製作所

BLOG技術者ブログ

モータのバッテリー駆動について

2025.05.16

こんにちは技術部のnakaです。米価格の超高騰が続いていますね、約1年前は5㎏で2,000円程度で買えていた米は、今や4,000円以上になってしまいました。4人家族の1か月の米の平均消費量は14㎏~の様ですので単純計算お米だけで毎月5,600円以上の出費増となっていることになります。このまま上昇すればキロ当たり1,000円が見えてきてしまいますし、他の食品や生活必需品の値上げも相次いでおり出費はかさむ一方なので、何とか価格が落ち着かない物でしょうか・・・

 

気を取り直して本題です。昨年9月のブログでは主にACで運転する電動工具用モータについて書かせて貰いました。今回は弊社で生産しているモータのDCでの運転、取り分けバッテリー駆動について考えてみました。

ご存じのように電動工具でも最近はコードレスが増えており、昔はモータ出力100W程度の小型電動ドライバーや木工ドリル的なものが中心でしたが、最近はリチウムイオン電池の進歩で、手持ちで2kW以上の最大出力というものも標準的に販売されています。また複数の電池を組み合わせてシステム化したり、背負って使う大型電池等も出てきています。

電動工具より大型の農機具や小型工事車両、小型モビリティ等でもバッテリー駆動が増えてきています。

明和製作所で生産している下記3種類のモータはDC電源で運転することが出来るのでバッテリーを電源として使用出来ます。下記ではバッテリー運転という観点で見た3種のモータの特徴と用途例を挙げてみます。


DCマグネットモータ
バッテリー電源で運転するのに最も一般的なモータと言っていいと思います。構造はシンプルでバッテリーと仕様さえ合っていれば、スイッチ1つで制御ができ、電源線を入れ替えるだけで逆回転させることが出来ますので、制御回路もシンプルにすることが出来るモータです。バッテリー運転用途としては、車載用のポンプや装置、搬送機に使用頂いています。

 

IPMモータ
DC運転時にもAC運転時と同様にプログラムでの制御が可能ですので、様々な運転パターンに対応可能です。効率が良いため、同じ出力なら他の2種類のモータよりバッテリーの容量は小さくて済みます。

弊社ではDC24V~72V、最大出力2kWまで対応するDC用コントローラIPC-30DCをご用意しています。

バッテリー運転用途としては、草刈機や高所作業車等にご使用いただいています。

 

整流子モータ
別名であるユニバーサルモータの所以でAC/DCのどちらでも運転出来るためバッテリー運転にも用いることが出来ます。バッテリー運転用途としては、電力機器関係で変電所等にバッテリーが設置してあり、遮断や開閉、断路を行う機器のモータに使用頂いています。

 

一般的にバッテリーで駆動するDCマグネットモータとDCブラシレスモータ(弊社ではIPM)は割と身近に良くありますが、伏兵に感じるのは整流子モータだと思います。コンセントに繋ぐ家電や電動工具で使用されることが多いためAC電源用モータのイメージの方もいるかと思いますが、DCでも運転出来るため、バッテリー電源専用で使用することは勿論、例えば同一のモータで通常は商用AC電源で運転し、電源がない場所や非常時に使用する時にはバッテリーのDC電源で使用するという使い方も可能です。
また、ACで運転した場合よりトルクUPとそれに伴う効率UPが期待できます。

次に3種類のモータの中から代表的な機種を1つ選んでバッテリー運転する想定の理論値を諸々計算してみました。

整流子モータのUM-ML7だけ電圧が高いですが、これは弊社標準でこれ以上の低電圧仕様がないためです。理論的には可能ですが、大電流による効率低下や巻線仕様の特殊対応デメリットに比べてメリットが少なく、低電圧の場合はDCMかIPMをお勧めしています。

次にバッテリーの仕様について考えてみます。

 

大前提として下記は満たさなければ使用は出来ません。

①モータ定格電圧=バッテリー定格電圧(コントローラや変圧出来る機器を挟む場合は除く)

②モータ定格電流≦バッテリー最大連続放電電流

③モータ瞬間最大電流≦バッテリー最大瞬間許容電流

上記①~③はバッテリーの仕様表で確認する必要があります。

 

これ以外にもモータの運転状態によって定格電流を超える状態が発生する場合は、バッテリー側が対応出来るか確認が必要です。
特に③、表で言うと一番下の瞬間最大電流は、主にモータを起動する際に流れる電流で、一瞬ではありますが大きな電流が必要になりますので注意が必要です。当然ながら出力が大きなモータはこの数値が大きくなりますし、低電圧のモータも電力=電圧×電流の関係から大きな電流が必要になってしまいます。
“短い使用時間なので小さなバッテリーにしたい!”という場合は、仮に定格電流で所定時間運転できる容量のバッテリーであっても、この起動電流を流すことが出来なければ使用出来ません。DCマグネットモータと整流子モータを直接バッテリーに繋いでスイッチ等で制御する際は特に注意が必要です。
この課題は起動電流を制限する回路や、その機能があるコントローラを用いれば解決は可能で、運転にコントローラが必要なIPMモータでは、起動電流をこのコントローラで制限でき、比較的小さな起動電流に抑えることが出来るため、定格出力の割りには小さめのバッテリーを使用出来る可能性があります。

次にバッテリーの仕様について例を挙げてみます。

例えばAのバッテリーで例1のマグネットモータPM-SS8 24V仕様を定格負荷で運転する場合

バッテリー定格容量20(Ah) / モータ定格電流8(A) ≒ 2.5(h)

となり単純計算では2時間半程度運転できることになります。同様にEのバッテリーで例2の整流子モータUM-ML7 72V仕様を定格負荷で運転する場合

バッテリー定格容量45(Ah) / モータ定格電流9.3(A) ≒ 4.8(h)

となり単純計算では5時間弱程度運転できることになります。

冒頭にご紹介した、小型手持ち電池で2kW以上の出力という例の場合は電圧40Vで5Ah程度と、上記の表の例より更に小さい容量しかないのですが、電池の放電能力レートが少なくとも10C以上あるため、最大2kW以上の出力が可能になっているようです。しかし当然ながら連続使用時間は短時間(仮に最大出力を継続した場合は単純計算で6分)になります。

バッテリーは誤った使い方をすると爆発や火災が発生する可能性がありますので、定格スペックでの確認だけでなく、実際の現場での使用方法についてもユーザーサイドでの十分な検証と評価が必要です。また標準製品化する場合にはサービス・サポート体制も必須ですね。

 

今回は弊社モータのバッテリー駆動にあたっての考え方をご紹介しましたが、バッテリーには様々なタイプがあり、電圧や容量だけでなく特性も様々です。弊社ではモータやコントローラーと電池とのマッチングの確認や、電圧に応じたモータ巻線の変更も可能で “72Vだけど100Vと同じレベルの回転数やトルクにしたい“といったご要望にもお応えします。

冒頭のイラストでご紹介したような、バッテリーDC電源で駆動する用途でのモータ案件は弊社の得意とするところですので、是非一度ご相談下さい。

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